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あなたに合う一台がわかる!キーボードの教科書

パソコンを使う上で、マウスと並んで誰もが必ず触れるデバイス、それが「キーボード」です。普段あまり意識することはないかもしれませんが、実はこのキーボード、あなたのパソコンライフの快適さを大きく左右する、非常に奥が深いアイテムなんです。

「キーボードなんて、文字が打てればどれも同じでしょ?」

そう思っている方もいらっしゃるかもしれません。でも、もしあなたが1日に1時間以上パソコンで文字を打つなら、キーボードに少しだけこだわってみることで、作業効率が上がったり、タイピングそのものが楽しくなったりする可能性があります。この記事では、特定の商品をおすすめすることは一切ありません。その代わりに、あなた自身が「自分に合ったキーボードとは何か?」を見つけるための、徹底的なお役立ち情報だけを詰め込みました。さあ、一緒にキーボードの沼…いえ、奥深い世界への扉を開けてみましょう!

  1. はじめに:なぜ今、キーボードにこだわるべきなのか?
    1. パソコン作業の「質」が向上する
    2. 長時間の使用による身体への影響
    3. 「文字を打つ」という行為が楽しくなる
  2. キーボードの基礎知識:まずはここから押さえよう
    1. 接続方式の種類と特徴
      1. 有線接続
      2. 無線接続
    2. 配列(レイアウト)の違いを理解しよう
      1. 日本語配列(JIS配列)
      2. 英語配列(US配列)
      3. 配列選びのポイント
    3. サイズによる分類
      1. フルサイズ
      2. テンキーレス
      3. コンパクト(75%, 65%, 60%など)
  3. 最重要ポイント!キースイッチの世界
    1. 構造による分類:メンブレン、パンタグラフ、メカニカル、静電容量無接点
      1. メンブレン方式
      2. パンタグラフ方式
      3. メカニカル方式
      4. 静電容量無接点方式
    2. メカニカルスイッチの「軸」について深掘り
      1. クリック感と押し心地で分類する「3つのタイプ」
      2. 主要な軸色の特徴まとめ
      3. 軸選びのヒント
  4. キーボード選びを左右するその他の要素
    1. キーキャップの素材と形状
      1. 素材の種類
      2. 印字方式
      3. キーキャップのプロファイル(形状)
    2. あると便利な機能
    3. 人間工学(エルゴノミクス)に基づいたキーボード
  5. キーボードを長く快適に使うためのメンテナンス
    1. 日常的なお手入れ
    2. 定期的な大掃除
    3. 保管方法のポイント
  6. 知っておくと面白いキーボードの豆知識
    1. QWERTY配列の歴史
    2. Dvorak配列やColemak配列とは?
    3. 自作キーボードの世界
  7. まとめ:自分だけの最高の相棒を見つけよう

はじめに:なぜ今、キーボードにこだわるべきなのか?

まずは「どうしてキーボードなんてこだわる必要があるの?」という疑問にお答えします。理由は大きく分けて3つあります。

パソコン作業の「質」が向上する

自分に合わない靴で長時間歩くと、足が痛くなったり、すぐに疲れてしまったりしますよね。キーボードもそれと同じです。自分の手の大きさや指の力、タイピングの癖に合っていないキーボードを使い続けると、無意識のうちにストレスが溜まり、タイプミスが増えたり、思考のスピードにタイピングが追いつかなくなったりすることがあります。自分にフィットするキーボードは、思考をスムーズに文字へと変換してくれる、いわば「脳の外部インターフェース」のような存在。快適なタイピングは、仕事や趣味のクオリティを底上げしてくれる力を持っているのです。

長時間の使用による身体への影響

現代人は、仕事やプライベートで非常に長い時間をパソコンの前で過ごします。不自然な姿勢でタイピングを続けていると、手首や肩、首などに負担がかかってしまうことも。キーボードの形状やキーの重さ、角度などを自分に合わせることで、こうした身体への負担を軽減する一助となる場合があります。もちろん、キーボードだけで全てが解決するわけではありませんが、毎日長時間触れるものだからこそ、少しでも身体に優しいものを選ぶという視点はとても大切です。

「文字を打つ」という行為が楽しくなる

これが実は一番大きな理由かもしれません。お気に入りの万年筆で文字を書くと、なんだか少しだけ豊かな気持ちになる。それと同じで、打鍵感(キーを押したときの感触)や打鍵音(キーを押したときの音)が心地よいキーボードを使うと、タイピングそのものがエンターテイメントに変わります。カチャカチャ、スコスコ、コトコト…キーボードが奏でる音に耳を澄ませ、指先に伝わる感触を味わう。そんな新しい楽しみ方が、キーボードの世界には広がっています。

キーボードの基礎知識:まずはここから押さえよう

では、具体的にキーボードを選ぼうと思ったとき、どんな知識が必要になるのでしょうか。ここでは、絶対に知っておきたい3つの基本要素「接続方式」「配列」「サイズ」について解説します。

接続方式の種類と特徴

キーボードとパソコンをどのようにつなぐか、という違いです。大きく分けて「有線」と「無線」の2種類があります。

有線接続

USBケーブルを使ってパソコンと直接つなぐタイプです。最も一般的で、多くのデスクトップパソコンに付属しているのはこのタイプですね。

  • メリット:接続が安定しており、遅延(キーを押してからPCに認識されるまでの時間差)が非常に少ないのが特徴です。また、PCから給電されるため、電池切れの心配がありません。
  • デメリット:ケーブルがあるので、デスク周りがごちゃごちゃしやすい点や、ケーブルの届く範囲でしか使えないという可動域の制限があります。

無線接続

ケーブルなしでパソコンと接続するタイプです。デスク周りをスッキリさせたい方に人気です。無線接続の中にも、さらに2つの方式があります。

  • Bluetooth接続:多くのノートパソコンやタブレット、スマートフォンに標準で搭載されている通信規格です。USBポートを塞がずに使える点や、複数のデバイスを切り替えて使える「マルチペアリング機能」を持つ製品が多いのが魅力です。
  • 2.4GHzワイヤレス接続:専用のUSBレシーバー(ドングル)をパソコンに挿して使うタイプです。Bluetoothに比べて接続が安定しやすく、遅延も少ない傾向にあります。

無線接続のメリット・デメリットは以下の通りです。

  • メリット:ケーブルがないため、デスク周りがスッキリします。また、離れた場所からでも操作できるので、リビングのテレビに繋いだPCを操作する、といった使い方も可能です。
  • デメリット:電池または充電が必要です。電池切れになると当然使えなくなります。また、有線に比べると、ごくわずかな遅延が発生する可能性や、他の電波との干渉によって接続が不安定になる可能性がゼロではありません。
接続方式 メリット デメリット
有線接続 接続が安定、遅延が少ない、電池不要 ケーブルが邪魔、可動域が狭い
無線 (Bluetooth) ケーブルレス、USBポート不要、マルチペアリング対応機種が多い 要電池/充電、接続が不安定になる可能性、遅延の可能性
無線 (2.4GHz) ケーブルレス、比較的安定、遅延が少ない 要電池/充電、USBポートを1つ使用する、レシーバー紛失リスク

配列(レイアウト)の違いを理解しよう

キーボードに並んでいるキーの配置のことを「配列」または「レイアウト」と呼びます。日本で主に使われているのは「日本語配列」と「英語配列」の2つです。

日本語配列(JIS配列)

私たち日本人が最も慣れ親しんでいる配列です。Enterキーが大きく、逆L字型になっているのが特徴的です。また、「半角/全角」「無変換」「変換」「カタカナ ひらがな」といった、日本語入力に特化したキーが存在します。普段使いで特にこだわりがなければ、まずこの配列を選んでおけば困ることは少ないでしょう。

英語配列(US配列)

その名の通り、英語圏で標準的に使われている配列です。Enterキーが横長で、スペースキーが日本語配列よりも長いのが特徴です。「半角/全角」などのキーはなく、記号の配置も日本語配列とは異なります。プログラマーや、英文を多く打つ方に好まれる傾向があります。見た目がスッキリしていてカッコいい、という理由で選ぶ人もいますね。ただし、日本語入力とローマ字入力を切り替える際は、「Alt + `(バッククォート)」など、少し特殊な操作が必要になる点には注意が必要です。

配列選びのポイント

どちらの配列が良い、悪いということはありません。完全に好みの世界です。

  • これまで通りがいい方、難しいことは考えたくない方: 日本語配列
  • プログラミングなどで記号を多用する方、見た目のシンプルさを重視する方: 英語配列

もし英語配列に挑戦してみたい場合は、記号の配置に慣れるまで少し時間が必要だということを覚えておきましょう。

サイズによる分類

キーボードには様々なサイズがあります。デスクの広さや使い方に合わせて選びましょう。

フルサイズ

最も標準的なサイズで、文字キー、ファンクションキー、矢印キー、そして右側に電卓のような数字キー(テンキー)が全て揃っています。数字入力が多い方、例えば経理やデータ入力などの作業をする方にはテンキーが非常に便利です。ただし、その分横幅が広くなるため、デスク上でマウスを動かすスペースが狭くなるという側面もあります。

テンキーレス

フルサイズキーボードから右側のテンキー部分だけをバッサリとなくしたサイズです。「Tenkeyless」を略して「TKL」とも呼ばれます。横幅がコンパクトになるため、デスクを広々と使いたい方や、マウスの可動域を広く確保したいゲームユーザーなどに人気があります。数字入力は上部の数字キーで行うことになります。

コンパクト(75%, 65%, 60%など)

テンキーレスからさらにキーを削ぎ落とし、極限までコンパクトさを追求したサイズです。ファンクションキーや矢印キーなどを省略し、「Fn」キーとの同時押しで入力する仕組みになっています。持ち運びやすさを重視する方や、とにかくデスクをミニマルにまとめたいという方に支持されています。ただし、特殊なキー入力に慣れが必要なため、どちらかというと上級者向けの選択肢と言えるかもしれません。

サイズ 特徴 向いている使い方
フルサイズ 全てのキーが揃っている。特にテンキーが便利。 数字入力が多い事務作業、オールラウンド
テンキーレス (TKL) テンキーがなくコンパクト。マウスの可動域が広い。 デスクを広く使いたい方、ゲーマー
コンパクト 極限まで小型化。持ち運びに便利。 モバイル用途、ミニマリスト、上級者

最重要ポイント!キースイッチの世界

さて、ここからがキーボード選びの醍醐味、「キースイッチ」の世界です。キースイッチとは、各キーの下に設置されている部品のことで、このスイッチの構造こそが、キーボードの「打鍵感」と「打鍵音」を決定づける最も重要な要素なのです。

構造による分類:メンブレン、パンタグラフ、メカニカル、静電容量無接点

キースイッチは、その仕組みによって大きく4つの方式に分けられます。

メンブレン方式

多くの安価なキーボードで採用されている、最もポピュラーな方式です。シート状の電極(メンブレンシート)を、キーを押すことで押し下げられたラバードーム(ゴムのお椀)が接触させることで入力を検知します。

  • 構造と仕組み: シンプルな構造で、部品点数が少ないのが特徴です。キーを押し込むと、グニッとしたゴムの感触があります。
  • 打鍵感の特徴: 打鍵感は「フニャフニャ」「グニッ」といった表現が近いです。キーのどこを押しても入力されますが、底までしっかり押し込む必要があります。
  • メリット: 構造が簡単なため、非常に安価に製造できます。また、ある程度の防水性を持つ製品も多いです。
  • デメリット: キーを底まで押し込む必要があるため、長時間のタイピングでは指が疲れやすいと感じる人もいます。また、構造上、耐久性は他の方式に比べてやや劣る傾向があります。

パンタグラフ方式

主にノートパソコンのキーボードで採用されている方式です。メンブレン方式の一種ですが、キーの下にひし形の「パンタグラフ」という支持機構があるのが特徴です。

  • 構造と仕組み: パンタグラフ機構のおかげで、キーのどこを押しても均等に力が伝わり、スムーズにキーが沈み込みます。キーストローク(キーが沈み込む深さ)は浅いです。
  • 打鍵感の特徴: 「ペチペチ」とした軽い打鍵感です。ストロークが浅いため、スピーディーなタイピングが可能です。
  • メリット: 本体を非常に薄く作ることができます。ノートパソコンに多用されるのはこのためです。軽い力で入力できるのも魅力です。
  • デメリット: ストロークが浅いため、打った感触が物足りないと感じる人もいます。また、構造が繊細なため、掃除がしにくいという側面もあります。

メカニカル方式

一つ一つのキーが独立した機械式のスイッチになっているタイプです。ゲーミングキーボードや、タイピングにこだわる人向けの高級キーボードで多く採用されています。最大の特徴は、後述する「軸」を交換することで、打鍵感をカスタマイズできる点にあります。

  • 構造と仕組み: 各キーが独立したスイッチ(バネと接点など)で構成されています。このスイッチの作りによって、様々な打鍵感が生まれます。
  • 打鍵感の多様性: 「カチッ」とした明確なクリック感があるもの、「スコスコ」とスムーズに底まで落ちるものなど、非常に多彩な打鍵感が存在します。これがメカニカルキーボードの最大の魅力です。
  • メリット: 耐久性が非常に高く、長期間にわたって安定した性能を維持できます。また、打鍵感が心地よく、タイピングが楽しくなるという声が多いです。キーが故障しても、そのキーだけを交換できる製品もあります。
  • デメリット: 構造が複雑なため、価格が高価になりがちです。また、打鍵音が大きいモデルが多く、静かなオフィスなどでは使用場所に配慮が必要な場合があります。

静電容量無接点方式

物理的な接点が接触することなく、キーが一定の深さまで押されると、電極間の静電容量の変化を検知して入力を認識する、非常にユニークな方式です。一部の高級キーボードでのみ採用されています。

  • 構造と仕組み: キーを押し下げると、円錐状のバネ(コニックリング)が縮み、電極パッドとの距離が変わります。この距離の変化(静電容量の変化)をセンサーが読み取って、入力と判断します。物理的な接点がないのが最大の特徴です。
  • 打鍵感の特徴: 「スコスコ」「コトコト」といった、非常に滑らかで独特な打鍵感です。底打ち感がなく、指への負担が少ないと言われています。羽毛に触れるような、と表現されることも。
  • メリット: 物理的な接点がないため、摩耗が起こらず、理論上半永久的に使えると言われるほど圧倒的な耐久性を誇ります。また、静音性にも優れています。
  • デメリット: 採用しているメーカーが少なく、非常に高価です。打鍵感が独特なため、好みが分かれる場合もあります。

メカニカルスイッチの「軸」について深掘り

メカニカルキーボードの魅力の核心である「軸」。これはキースイッチの種類を指す通称で、主にスイッチのステム(キーキャップを取り付ける十字の部分)の色で区別されます。ここでは代表的な軸の種類と特徴を見ていきましょう。

クリック感と押し心地で分類する「3つのタイプ」

メカニカルスイッチの軸は、その感触によって大きく3つのタイプに分けられます。

  • リニア: キーを押し始めてから底に到達するまで、全く引っかかりがなく、スムーズに「スーッ」と入っていくタイプです。感触に癖がなく、高速入力に向いています。代表的なのは「赤軸」です。
  • タクタイル: キーを押し込んでいく途中で、わずかな引っかかり(クリック感)を感じるタイプです。「コクッ」とした感触があるため、キーが反応したことが指先で分かりやすいのが特徴です。代表的なのは「茶軸」です。
  • クリッキー: タクタイルと同様に途中で引っかかりがあるのに加え、「カチッ!」というはっきりとしたクリック音が鳴るタイプです。音と感触の両方で入力が確認できるため、タイプしている感覚を強く味わえます。代表的なのは「青軸」です。

主要な軸色の特徴まとめ

メーカーによって特性は多少異なりますが、一般的に言われている各軸色の特徴です。

軸の種類 (通称) タイプ 特徴 主な用途
赤軸 リニア 軽く滑らかな押し心地。音は比較的静か。 ゲーミング、高速タイピング
茶軸 タクタイル 軽いクリック感(タクタイル感)がある。音と打鍵感のバランスが良い。 オールラウンド、初心者向け
青軸 クリッキー 「カチッ」という明確な音とクリック感。タイピングの楽しさを感じやすい。 長文入力、音を気にしない環境
黒軸 リニア 赤軸より重い(反発力が強い)。しっかりとした打鍵感を好む人向け。 しっかりした打鍵感を求める人
銀軸 (スピード軸) リニア 赤軸よりもキーが反応するポイントが浅い。より高速な入力が可能。 eスポーツなど、一瞬の反応を求めるゲーマー
静音赤軸 (ピンク軸) リニア 赤軸をベースに静音化処理を施したもの。オフィスなどでも使いやすい。 静かな環境でのタイピング

軸選びのヒント

「じゃあ、自分はどの軸を選べばいいの?」と迷ってしまいますよね。もちろん最終的には個人の好みですが、一般的な傾向として以下のような選び方が考えられます。

  • ゲームでの利用がメインなら: わずかな遅延も許されない、素早い反応が求められるゲームなら、スムーズで反応の速い「リニア」タイプ(赤軸や銀軸)が人気です。
  • 仕事で長文を打つことが多いなら: 適度なフィードバックがあり、リズミカルに打てる「タクタイル」タイプ(茶軸)が疲れにくいと感じるかもしれません。タイピングの楽しさを重視するなら「クリッキー」タイプ(青軸)も良い選択ですが、周囲の環境には配慮が必要です。
  • とにかく静かな環境で使いたいなら: メカニカルの中では「静音赤軸」のような静音化された軸が候補になります。もしくは、メカニカル以外の「静電容量無接点方式」も非常に静かです。

一番良いのは、家電量販店などで実際に触って試してみることです。こればっかりは、文章を読んだだけでは分からない感覚的な部分が大きいので、ぜひ実機に触れて「あ、この感じ好きかも!」という出会いを探してみてください。

キーボード選びを左右するその他の要素

キースイッチ以外にも、キーボードの使い心地を左右する要素はたくさんあります。ここでは、さらに一歩踏み込んだマニアックな世界をご紹介します。

キーキャップの素材と形状

キーキャップとは、指が直接触れるキーの頭の部分のことです。この素材や印字方法、形状によっても、タイピングの感触や見た目の印象が大きく変わります。

素材の種類

主に「ABS樹脂」と「PBT樹脂」の2種類が使われています。

  • ABS樹脂: 多くのキーボードで標準的に採用されている、一般的で安価な素材です。発色が良く、加工しやすいため、様々なデザインのキーキャップが作れます。デメリットとしては、長期間使用していると表面が摩耗してテカテカと光沢が出てきやすい点が挙げられます。
  • PBT樹脂: ABS樹脂に比べて硬く、耐摩耗性や耐薬品性に優れた素材です。長期間使っても表面がテカりにくく、サラサラとした手触りが持続します。ABSに比べてコストが高いため、比較的高級なキーボードや、交換用のキーキャップで採用されることが多いです。

印字方式

キーキャップに書かれている文字の印刷方法にも種類があります。これが違うと、文字の消えにくさが変わってきます。

  • シルク印刷: キーキャップの表面にインクを直接印刷する、最も安価な方法です。長期間使うと摩擦で印字が消えてしまいやすいのが難点です。
  • レーザー刻印: レーザーでキーキャップの表面を焼いたり、塗料を剥がしたりして印字する方法です。シルク印刷よりは耐久性がありますが、これも長期間の使用で薄くなることがあります。
  • 昇華印刷: 特殊なインクを熱で素材に浸透させる方式です。インクが樹脂の内部まで染み込むため、印字が非常に消えにくいのが特徴です。PBT樹脂と組み合わせられることが多いです。
  • 二色成形(ダブルショット): 文字の部分と外側の部分を、異なる色の樹脂を使って金型で成形する方式です。キーキャップ自体が文字の形になっているため、物理的に印字が消えることは絶対にありません。最もコストのかかる贅沢な仕様です。

キーキャップのプロファイル(形状)

キーキャップの形状や高さのカーブのことを「プロファイル」と呼びます。これによっても指の運びやすさや打鍵感が変わってきます。

  • OEMプロファイル: 多くの市販メカニカルキーボードで採用されている、最も標準的な形状です。列ごとにキーの高さや角度が異なり、指が自然に届くように設計されています(シリンドリカル)。
  • Cherryプロファイル: OEMプロファイルと似ていますが、全体的に少し背が低いのが特徴です。打鍵感がよりダイレクトに感じられるとされ、根強い人気があります。
  • SAプロファイル: 全体的に背が高く、キートップが球状に窪んでいる(スフェリカル)のが特徴です。レトロな見た目と、指に吸い付くような独特の打鍵感が魅力です。
  • DSAプロファイル: 全てのキーが同じ高さ、同じ形状をしているのが特徴です。見た目がフラットで美しいですが、慣れるまでは少し打ちにくく感じるかもしれません。
  • XDAプロファイル: DSAプロファイルと同様にフラットですが、キートップの面積が広く、浅い窪みがあります。DSAよりも指を置きやすいと感じる人が多いです。

キーキャップは交換して楽しむ「沼」の入り口でもあります。素材、色、プロファイルを自分好みにカスタマイズしていくことで、世界に一つだけのキーボードを作り上げることも可能です。

あると便利な機能

キーボードには、タイピングをより快適にするための様々な付加機能が搭載されていることがあります。

  • Nキーロールオーバーとアンチゴースト: Nキーロールオーバーとは、複数のキーを同時に押したときに、押したキー全てを正確に認識する機能です。「N」には数字が入り、例えば「6キーロールオーバー」なら6キーまで、「フルNキーロールオーバー」なら全てのキーを同時認識できます。アンチゴーストは、同時に押していないのに押したと誤認識されるのを防ぐ機能です。特に高速でタイピングする方や、複雑なキー操作が求められるゲーマーにとって重要な機能です。
  • マクロ機能: 一連のキー操作を記録して、特定のキーに割り当てることができる機能です。例えば、「Ctrl+C」を1つのキーに割り当てたり、ゲームで特定のコンボをワンボタンで発動させたりできます。
  • バックライト機能: キーの下にLEDが内蔵されており、暗い場所でもキーを視認しやすくする機能です。単に光るだけでなく、色や光り方を自由に変えられる「RGBライティング」は、見た目を華やかに彩る装飾的な意味合いも強いです。
  • マルチペアリング機能: 無線キーボードに搭載されている機能で、複数のデバイス(PC、タブレット、スマホなど)を登録しておき、ボタン一つで接続先を切り替えることができます。複数の機器を1台のキーボードで操作したい場合に非常に便利です。
  • キーマップ変更機能: 専用のソフトウェアなどを使って、各キーの役割を自由に入れ替えることができる機能です。例えば、「Caps Lock」キーをあまり使わないから「Ctrl」キーに変える、といったカスタマイズが可能です。より自分好みの配列を追求したい上級者向けの機能です。

人間工学(エルゴノミクス)に基づいたキーボード

長時間のデスクワークによる身体への負担を考慮して設計された、特殊な形状のキーボードも存在します。これらは「エルゴノミクスキーボード」と呼ばれます。

  • 分割型キーボード: キーボードが左右真っ二つに分かれているタイプです。左右のユニットを肩幅に合わせて配置できるため、胸を開いた自然な姿勢でタイピングができます。
  • 一体型エルゴノミクスキーボード: キーボード自体が中央で盛り上がり、「ハ」の字にキーが配置されているタイプです。手首を不自然に曲げることなく、自然な角度で手を置くことができます。
  • 格子配列(オーソリニア)キーボード: 一般的なキーボードがジグザグにキーを配置しているのに対し、キーを碁盤の目のように真っ直ぐ縦横に並べたものです。指の移動距離を最短にすることを目指した設計です。

これらのキーボードは、見た目のインパクトが強く、慣れるまでには相当な時間と練習が必要です。しかし、一度慣れてしまうと、その快適さから普通のキーボードには戻れない、という人も少なくありません。手首や肩の疲れに悩んでいる方は、選択肢の一つとして検討してみる価値があるかもしれません。

キーボードを長く快適に使うためのメンテナンス

お気に入りのキーボードを見つけたら、ぜひ長く大切に使いたいですよね。そのためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。

日常的なお手入れ

日常的には、ホコリや小さなゴミを取り除くことが基本です。エアダスターでキーの隙間のホコリを吹き飛ばしたり、キーボード用のブラシで軽く掃いたりするだけでも、かなり綺麗になります。また、皮脂汚れなどが気になった場合は、固く絞った布や、OA機器用のウェットティッシュなどで表面を優しく拭いてあげましょう。

定期的な大掃除

半年に一度、一年に一度くらいは、少し本格的な掃除をしてあげるとキーボードも喜びます。特にメカニカルキーボードなどは、キーキャップを外して掃除することができます。

  1. 準備: まず、掃除を始める前にキーボードの写真を撮っておきましょう。キーを元に戻すときのカンニングペーパーになります。
  2. キーキャップを外す: 「キープラー」という専用の工具を使って、キーキャップを一つずつ垂直に引き抜きます。
  3. 本体の掃除: キーキャップがなくなった本体に溜まったホコリや髪の毛などを、エアダスターやブラシ、掃除機などで綺麗に取り除きます。
  4. キーキャップの洗浄: 外したキーキャップは、中性洗剤を少し入れたぬるま湯に浸けて、優しく洗います。洗い終わったら、タオルなどの上で完全に乾かします。生乾きのまま戻すと故障の原因になるので、しっかり乾燥させることが重要です。
  5. 元に戻す: 最初に撮った写真を見ながら、キーキャップを元の位置に一つずつはめ込んでいけば完了です。

この大掃除をすると、見違えるようにキーボードが綺麗になり、気分も一新されますよ。

保管方法のポイント

長期間キーボードを使わない場合は、ホコリがかぶらないように布をかけておいたり、箱に入れて保管したりするのがおすすめです。特に飲み物などをこぼしてしまうと一発で故障につながる可能性が高いので、デスクの上では飲み物の置き場所にも少し気を使うと良いでしょう。

知っておくと面白いキーボードの豆知識

せっかくなので、キーボードに関するちょっとした雑学もご紹介します。誰かに話したくなるかもしれませんよ。

QWERTY配列の歴史

今私たちが当たり前に使っているキーボードのアルファベット配列は「QWERTY(クワーティ)配列」と呼ばれます。左上のキーを順番に読んだものですね。この配列、実は「打ちやすくするため」ではなく、「打ちにくくするため」に生まれたという説が有名です。昔の機械式タイプライターの時代、あまりに速くタイピングすると、文字を打ち付けるアーム同士が絡まって故障してしまいました。そこで、使用頻度の高い文字をあえて離れた場所に配置することで、タイピング速度を意図的に落とし、故障を防いだのがQWERTY配列の始まりだと言われています(諸説あります)。

Dvorak配列やColemak配列とは?

QWERTY配列の非効率さを改善するために、後世になってから考案された新しい配列も存在します。例えば「Dvorak(ドヴォラック)配列」は、英文でよく使われる母音をホームポジション(指を置く基本の位置)に集中させるなど、指の移動距離が最小限になるように設計されています。他にも「Colemak(コールマック)配列」など、様々な最適化配列が提案されていますが、あまりにもQWERTY配列が普及しすぎたため、残念ながら主流にはなっていません。しかし、一部の熱心なファンによって今でも使い続けられています。

自作キーボードの世界

近年、盛り上がりを見せているのが「自作キーボード」の世界です。基板やケース、キースイッチ、キーキャップといったパーツを自分で選び、ハンダごてなどを使って組み立てる究極の趣味です。レイアウトも自由に設計できるため、自分だけの理想のキーボードを文字通りゼロから作り上げることができます。非常にハードルは高いですが、モノづくりが好きな方にとっては、これ以上ないほど魅力的な世界かもしれません。

まとめ:自分だけの最高の相棒を見つけよう

ここまで、本当に長い道のりでしたね。接続方式から始まり、配列、サイズ、そして心臓部であるキースイッチ、さらにはキーキャップやメンテナンス方法まで、キーボードにまつわる様々な情報をお届けしてきました。

この記事を読んで、「キーボードって、なんて奥が深いんだ…!」と感じていただけたなら、とても嬉しいです。そうです、キーボード選びは、単なる「道具選び」ではありません。自分の好みや使い方、こだわりを一つ一つ見つめ直し、無数にある選択肢の中から理想の一台を探し出す、まるで「旅」のようなものなのです。

打鍵感を求めて家電量販店を巡る旅。デザインを求めてインターネットの海を彷徨う旅。究極を求めて自作の世界へ踏み出す旅。どんな旅になるかは、あなた次第です。

この記事では、特定の製品名を一つも挙げていません。それは、最高のキーボードとは、誰かが決めたランキングの上にあるものではなく、あなた自身が「これだ!」と感じられる一台に他ならないからです。

この記事で得た知識をコンパスにして、ぜひあなただけの最高の相棒(キーボード)を見つける旅に出かけてみてください。その旅が、あなたのデジタルライフをより豊かで、楽しいものにしてくれることを願っています。

この記事を書いた人
にゃんこCPU

パソコンとガジェットをこよなく愛する、自称“性能厨”です。
10代からPCに触れはじめ、気がつけば組み立てやカスタマイズが日課に。
スペックやコスパを見極めるのが得意。
「難しいことは簡単に、でも大事なことはしっかり伝える」をモットーに、初心者にもわかりやすい解説を心がけています。

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